210428 ヌトミック+細井美祐『波のような人』

カフカの変身が原案ってことで慌てて読んでいたけど結局間に合わなかった。データになった「男」が最後どうなるのか、よりもデータになるのが「女」じゃなくて「男」で、一家には妹と母=「女」だけが残る、ってことが重要なのかなと、あとでTwitter検索でみつけた「家父長制を真ん中に置くとしっくりくる」という感想をみてようやく腑に落ちた(改めてみたらパンフレットにも「家父長制」というワードが書かれていた)。原案の変身では虫という実存するものに変わるけど、データは見えない。だから変身というよりも、声なのか何なのかよくわからないものが家に残ってる状態の失踪。カルテットの靴下よりは厄介だけれど。結局身体がなければお金も稼げないし、目に見えないものーたとえそれが家族であってもーを相手にしてるほど暇じゃないし。実存している人、この場合は残った女性2人、はどうやって生きてくか、どう生計を立てるかを考えざるを得ない。というかどう生きていくか≒どう生計をたてるか、なのやっぱりしんどいな。なぜあえて「データに変身」と明示したのかに関してはよくわからない。

最初に母が舞台上をくまなくクイックルワイパーがけするために、「挽肉とキウイ」を作る用の台所を天井から吊って降ろす演出が最高(文字で表現するのムズい。水道のホースが天井から伸びていた)。本番中に料理しているのを見るのは「バッコスの信女」(焼肉、同じ会場)以来だった。県芸の小ホールは寛大なんだな(わからんけど)。マスクしているからバッコスの焼肉よりも匂いは感じなかった。