ばらばらのまま束になること

ゴールデンウィーク最終日、10時半くらいに起きる。2012年の嵐のライブ@国立競技場映像を観る。


ARASHI - ARAFES NATIONAL STADIUM 2012【期間限定公開/Limited Time Release】

 櫻井さんから順番にメンバーの紹介ラップをするLa tormenta 2012で、

眠たいわけではないでしょ?

こいつが一応 最年長

絵を描いてる時 目が本気に

なるのが そうでもなきゃマジ のんびり

「この仕事してなきゃプータロウー」

いやいや そんな事 言うなよ

歌を聴かせたら降参だ

「おっさんか?」いやいや大ちゃんだ

https://ameblo.jp/syou-nino-makoto/entry-11479780468.html

これを二宮さんが、「この仕事してなきゃプータロウー」は大野さんが自分で、7万人の観客の前で言えるのは、単純にすごいと思った。この5~6年後、実際に「この仕事して」いない状態になりたい、と言えたのは、このラップにGOが出せるメンバー含めチームだからだったんだろうな。

 

夜、黒鳥社若林恵さんとDos MonosのラッパーTaiTanさんのインスタライブ。みっちり3枠分(3時間)、TaiTanさんは基本聞く側、という感じで、若林さんがこの状況で考えていること話していた。

 

「ライブ」ってなんだったんだっけ

石若駿さんのソロ即興を社のオフィスで撮ったときの話。

若林:「即興ってどうやるの?」

石若:「契機がいくつかあって、それのフィードバックで頭とか身体が動いて、っていうのの繰り返しですね」

若林:「即興ってなにが面白くて観に行ったりするの?」

石若:「終わったあと、演ってるひとが別人になってるんです」

という会話をしたらしい。録音作品だったり、映像作品からも何らかの契機だったり、変化は想像できるけど、アウトプットはもう「これ」っていうものが決まっているから、そこからインタビューとかで過去へ遡って、なんでそういう作品になったかを探る。ライブは、演者のそれまでの物語、音が出る直前までのすべての物語の結果、音がアウトプットされる。その「わからなさ」を面白がりつつ、またお互いの契機にしていく、っていうのが好きでライブに行くんだなっていうことを考えた。

 

現状認識が前提になるのに、日本政府はそれすらしない

今年に入ってblkswn NGG Researchという、各国メディアが発信してる各政府、行政の動きを要約して、コメント入れてひたすら引用リツイートするアカウントを若林さんが作った。まず、日本語ツイートを目に入れる時間を減らすだけで、精神的にスッキリする、とのこと。状況が状況なので、怒りや晒しの発信が増えるのは仕方ないと思うし、Twitter全く見ないっていうのは無理なので、自分もずっと見るのがキツい方(例えば七尾旅人さん)のフォロー外したり、最近良いと思った海外ミュージシャンのフォローを増やして精神の自衛している。

そして、なんでこういった海外情報収集、発信をblkswnがやって政府、行政がやらないのか。やっていたらマスク2枚とか、絶対実行に移さないだろう。やっぱり、現状認識すら「できない」能力不足なのか、「できるけど自分たちがやりたいようにやりたいので、認識しない(ふりをしている)」のか、いずれにせよ最悪。

 

「音楽は公に必要なインフラである」と説得力をもって言えるか

海外レーベルのオーナーに会うと、大抵こういったことを直接質問しなくても話してくる、という。若林さんが珍しく熱く、「てか言えないとだめでしょ」って言っていたのに感動した。

この話を聞いて、blkswnが行ったロンドンリサーチに関する記事を読んでみた。

英国最大規模の次世代アーティストの支援団体、PRS Foundationから、Maxie Gedgeを招致して行ったトークイベントのレポート。

まずPRS Foundationのミッション設定がすばらしい。

私たちは英国全土で才能育成と、ニューミュージック(カバーではないオリジナルの音楽)をサポートすることにより、音楽の未来に投資しています。どういった背景をもつソングライターやコンポーザーでも可能性を実現し、世界中のオーディエンスにリーチできるようにする

「音楽の未来に投資」することで、もっとわけがわからない音楽が生まれてほしい、そしてそれを聴きたい、という、完全にリスナーの鏡。

「文化」の重要性をどういうロジックで説得しているのか? という質問に対しては、

伝えてもわからない方々には、数字として表れている経済効果を示していくんです。そういった統計的なデータと、(アーティストの成功例といった)パーソナルな物語の2本立てで攻めると、『ギャップを改善しなければ新しいクリエイティブが出てこない』とイメージしやすくなるので

 くーー比較対象としておかしいけど、こういう動きがロンドンである裏でオリンピックに嵐を利用する気満々だったり、星野源さんの積み上げたものを無断かつ無料でかっさらう国よ、、、。「日本 音楽 支援団体」で検索すると、JMCEがトップにヒットした。中をみると、「世界進出したいアニソン・レーベル募集」。クールジャパンとなんら変わりなくて、辛くなってしまった。

PRS Foundationに近い動きとしては、アジカン後藤さんのApple Vinegarくらいかもしれない。ただ、大企業や公的機関から資金引っ張ってきているわけではなく、去年の賞金合計は128万円。Only In Dreamsでのレーベル、プロデュース業もしているけど、より多くのアーティストやジャンルに資金や体制が行き届くようにするには、、、

 

どうしたらいいんでしょう。若林さんの話を聞くTaiTanさんが「俺に言われてもなぁ、、」って思いながら聞いているように見えてしまった。

個のナラティブの時代、ではあるけど、それらが全部埋もれて次に繋がらなかったら意味がない。各ジャンルとか、地域に散らばった物語を拾い集めて種にする、次への契機にする、っていうことを考えないといけない。